以前、墨彩画を描くと、
心が癒される7つの理由というお話をしましたね。
墨彩画を描いていると、自然に癒されたり、
季節感を味わえたり、ネガティブ感情を遮断したり
など、さまざまな癒し効果があるというお話でした。
今回は、墨彩画を描いていると、
集中力がアップし、こころが安定してくる理由について
もう少し掘り下げて解説してみようと思います。
つらいとき、苦しいとき、悲しいとき、心が折れそうなとき、
墨彩画を描いていると、不思議なことに、
こころが静まってきて、落ち着いてきます。
理由の一つは、
墨彩画を描いていると、絵を描くことに集中するので、
ネガティブ感情や思考が遮断されることにあります。
実は、ネガティブな思考や感情を遮断するって、
とても難しいことなんです!
なぜなら、私たちのこころは、
いつもあちこちさまよって
じっとしていられないのが普通だからです。
目次
なぜ、心はさまようの?
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私たちは、こころの中だけでなく、
外にも、絶えず注意を向けているので、
ほんの数秒間でも、
注意を一点に集中することは、とても苦手なのです。
これは、遠い昔、
厳しい自然環境で生きていた私たちの祖先が、
外敵から身を守るために、絶えず、
周りに注意を向けていたという本能の名残だと思われます。
NHKの「ワイルドライフ」を見ていると、
野生動物たちは、いつ天敵に襲われるかわからないので、
いつもビクビク、周囲に気を配っていますね。
草食動物たちが、
肉食動物にむしゃむしゃ食べられる様子を見たりすると、
「人間社会に生きていて、よかったなあ」と思ってしまいます。
しかし、大昔、
厳しい自然環境の中で生きていた私たちの祖先は
あの草食動物と同じように、
危険と隣り合わせにいたはずです。
いつも注意を周囲に向けて、身を守っていたことでしょう。
そんなわけで、私たちは、本能的に、
注意を一点に集中することが元々苦手な生き物なのです。
集中することの苦手な私たち
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自分のこころが、いかにさまよっているかということは、
「瞑想」や「坐禅」を行うと、すぐにわかります。
余程、訓練をした人でない限り、わずか10分でも、
一点に注意を集中し続けることはできません。
ふっと気がつくと、「今日の夕食は何にしようか」とか
「あの人にメールの返事を書いたかしら」とか、
いろいろ考えてしまうんですね。
特に、心配ごと、腹が立つこと、悲しい出来事など、
気になることがあると、もういけません。
考えても仕方がないことと
理性でわかっていても、
こころは堂々巡りをして、
思考や感情から抜けられなくなってしまうのです。
堂々巡りが高じると、負のスパイラルに陥ってしまい、
抑うつ状態になったり、病気になったりしてしまうんですね。
こころを一点集中すると・・・
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私たちが、注意を一点に集中てきるようになると、
素晴らしい力を発揮できるようになります。
どんな分野であれ、一芸に秀でた人は、
一点に集中できる注意力があリます。
そして、時間の経過も忘れて、
目の前の活動に夢中になれるということは
とても幸せなことだとも言えるんですね。
墨彩画を描くと、集中力がアップし幸福になる?
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墨彩画を描くと、
簡単に注意を一点に集中することができます。
例えば、お花を眺めながら、墨彩画を描いていると、
雑念の入り込む余地はありません。
お花の隅々まで観察して、描いていくのですから、
目の前の作業に夢中にならざるおえないのです。
慣れない間は、すぐ疲れてきて
集中力も長くは続かないかもしれませんが、
毎日描いていると、だんだん集中力が高まってきます。
人は、何かに熱中しているときに最も幸福を感じ、
こころがさまよっているような時は
幸福感が低いと言われています。
つまり、墨彩画を描いていると、集中力が高まるだけでなく、
「充実感」「幸福感」を感じるようになっていくんですね。
しかし、それだけではありません。
墨彩画の題材となる自然のモチーフには
私たちの心を浄化し、育てていってくれる効果があります。
墨彩画のモチーフが教えてくれる世界
![ハガキ絵 姫辛夷の花](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/06/IMG_1629-2-1024x888.jpg)
お花を描いていると、
しみじみ、お花の美しさに感動します。
写真ではなく、ぜひ、実物の百合や、朝顔など
自然の姿を見てみてください。
その神秘的な美しさに、
心が洗われるような気持ちになりますから。
明日には枯れてしまう朝顔を描く時には、
「一期一会」の命の重みを感じます。
「きれいに咲いてくれてありがとう。
精一杯、描かせてもらいますね」
と、話かけている自分がいます。
![蓮の花とかわせみ1](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/08/IMG_E2680-2-990x1024.jpg)
あまりにも突然の叔母の死を、心が受け入れてくれない。
悲しくて、心の置きどころが見つからない。
そんなときに、蓮の花を描いて描いて描きまくりました。
![水墨画 蓮の花2](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2020/08/4238a0c008b3a30c306388262bd054f5-849x1024.jpeg)
蓮の花は、泥水の中で育つのに、
清らかで美しい花を咲かせることから、
仏教では、古くから神聖視されています。
この美しいお花が
、
優しかった亡き叔母の姿と重なったんですね。
何枚も、何年も、描き続けていくうちに、
しっかり納得している自分がいました。
そして、ようやく仕上げた蓮の花の絵を、
残された娘さんに差し上げました。
涙を流して喜んでくださいましたよ。
とても嬉しかったです。
「想いを絵にして、差し上げる」
こんなことができるのも、墨彩画の醍醐味ですね。
![ハクトウワシ](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/06/13F37633-8FE6-4682-88B7-9E5B81427EA3-788x1024.jpeg)
ときどき、自分を奮いたたせたいときに、
猛禽類や龍を描きたくなります。
厳しく、容赦のない目で、
自分の内奥を照らしてほしいという感覚です。
怠け者で、だらしなくて、意志が弱くて、ダメな自分を
厳しく叱咤してほしい。
![水墨画 白龍3](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2020/07/IMG_5148-1024x838.jpg)
でも、私が描くと、龍はほほえんでしまう。
絵は、私のこころを映し出してしまうんですね。
どこまでも、甘い自分なのかもしれません。
![墨彩画 涼風](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/07/IMG_E2016-755x1024.jpg)
昔から大好きなモチーフです。
滝には、こころを浄化する作用があるからです。
ただただ、滝を描いていると、
まっしろな水飛沫とともに、
心の濁りや澱みまで流していってくれるような
気がしてくるのです。
描きながら、さわやかに澄んだこころを感じるようになります。
まとめ
今回は、「墨彩画のメンタル効果」集中力がアップし、
心が安定してくるわけとは?
をテーマに、解説してみました。
私たちの心は、もともと、
落ち着きのない存在であること。
集中力がつくと、素晴らしい威力を発揮できること。
墨彩画を描くと、集中できる理由、
描くモチーフが、心を育ててくれる理由、
などについて解説しました。
いかがだったでしょうか?
今回は、ここまでです。
また次回、お会いしましょう。