こんにちは。
墨彩画家でセラピストの桂颯(けいそう)です。
さて、今回は、若冲の雄鶏図模写3回目です。
1回目は、雄鶏図の骨描きまで行いました。
2回目は、雄鶏図の色を解析するために、
iPadアプリのProcreateを使って、
背景の色ととさかの色について、
調べましたね。
3回目は、下塗りからです。
最初は、さっさと二度塗り、三度塗りと、
全体的にすこしづつ仕上げていくつもりでした。
ところが、頭部を描いているうちに、挫折し、
尾羽を描いている途中で挫折しと、
なかなか筆が進まなくなってしまったのです。
なぜなら、ものすご〜〜〜〜〜〜〜〜く、
ものすご〜〜〜〜〜く
細かい作業で描かれていて、圧倒されてしまうからです。
頭部、尾羽、足、お腹の羽、背中の羽、
その一つ一つの部分が、
気の遠くなるような細かい作業で描かれているのです。
こうなったら、腹を据えて、
若冲の懐に入って、しっかり学ばせてもらおう!
と覚悟を決めました。
おそらく、膨大な時間がかかることでしょう!
そこで、私は、一部分づつ、
集中的に仕上げていくことにしました。
こういう細かな絵を描く場合、集中力は30分が限度です。
虫眼鏡で確認しながら描くので、目も疲れてきます。
そこで、タイマーを使って、20分たったら休憩し、
また20分描いたら休憩しというやり方で描いていきました。
これだと、集中力が持続するんですね。
「もっと描きたいのに・・」というところで、
やめるのが、コツです。
そういうわけで、若冲の模写図は、部分ごとに
数回に分けて、解説していきますね。
私にとって、大変勉強になりますが、
この講座をご覧になる皆さんにとっても、
きっと、役に立つ内容になると思います。
そこで、今回は、「尾羽」の描き方について
解説していきたいと思います。
目次
顔彩による挑戦
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_E5195-654x1024.jpg)
上の画像は、尾羽の部分だけを描いたものです。
実際は、若冲は、お金持ちだったので、
かなり高級な岩絵具を使ったようです。
しかし、私は、顔彩だけで、
どこまで若冲の絵に近づくことができるか、
チャレンジしてみようと思っているのです。
日本画を描きたい!
日本の伝統的な花鳥風月の趣ある絵画を描きたい。
しかし、日本画で使う岩絵具は値段が高いし、
手間もかかるので、敷居が高い。
もし顔彩で、描くことができたら、
経済的にも、時間的にも、かなり負担が少なくなるし、
だれでも気軽に描くことができるはず。
私が、鉤勒法で墨彩画を描こうと思った理由です。
背景塗り
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_E5190-801x1024.jpg)
前回は、骨描きまで終えていましたので、
今回は、背景塗りからですね。
背景の色は、前回、お伝えしたように、
iPadアプリのProcreateで解析し、
黄土に胡粉と墨を混色して、
彩度低め、明度高めで調整して色の調整を行いました。
白い羽の下塗り
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_E5191.jpg)
まず、白い羽の部分を、薄めの胡粉で下塗りします。
全体の下塗り
写真を見ながら、黒い羽は墨で、
茶色の羽は、黄土、栗皮茶、墨の混色で、
とさかは、前回、Procreateで解析したように、
上朱で、おおまかに下塗りします。
若冲の白のマジック
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_E5196-1024x905.jpg)
白のマジック
① この白い羽の部分の描き方は、
5段階に分けて描いています。
1、薄い胡粉で下塗りをします。
2、両側の外から内に向かって、
濃いめの胡粉を塗ります。
3、水筆で中心に向かってぼかします。
4、濃い胡粉で、中心の線を描きます。
5、中心から外に向かって、
細かい線を描きます。
② 中心の線上に、小さい白い線が描かれているのがわかるでしょうか?
ここは、羽が取れてしまったんですね。
そして、少しだけ、残骸が残っているということでしょうか。
③ 白い羽の毛先が、ほんの少し見えています。
模写しなければ、見過ごしてしまうほどの細かい演出です。
④ この雄鶏図は、ぐっと足を握り、片足をあげ、
かっと目を見開いて、遠くを見つめる姿は、
まるで、歌舞伎役者が見得を切っているようにも見えます。
中心から外に向かって、筆をぐっと払う感じで描きます。
描く時、一瞬、息が止まるほどの緊張感を感じるのです。
そう、まるで、歌舞伎役者が見得を切っているように。
羽の中の白い線を描くときも、真剣勝負です。
胡粉の濃度が薄すぎても、濃すぎても、
筆のスピードが遅すぎても、線はうまくかけません。
難しいのですが、とても勉強になりますね。
この緊張感は、羽の表現にも出てくるんですね。
遠くから見れば、白一色に見える羽も、
実は、このように数段階にわたって細かな作業がなされています。
「若冲先生、凄い!」
若冲の黒のマジック
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_E5197-1024x799.jpg)
① 白の羽の先をご覧ください。
鋭く尖っていることがわかるでしょうか?
これは、胡粉でこのように描くのではなく、
周りの墨を塗って、白い羽の先端を尖らせるのです。この表現によって、羽の先まで、緊張感がみなぎっています。
② 黒い羽が重なっています。
実際の絵が、どうなっているか、わかりませんが、私は、墨を何層にも塗り重ねて、羽の違いを表現するようにしました。
また、中心の薄い線で羽の向きがわかりますね。この線は、胡粉+墨に、紫を少し入れてみました。
③ 尾羽の先は、丸くやんわりとがっています。
全ての尾羽の先は、この形です。
とがりすぎるのでも、丸いのでもなく、
この形に統一されているのです。
④ この部分は、黒ではありません。
墨に胡粉を少し混色して、わずかに黄土を加えてあります。
実に細かい表現ですね。
若冲の茶色のマジック
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/12/IMG_E5198-1024x940.jpg)
①茶色の羽も、細かく塗り分けられています。
- 黄土、栗皮茶、墨、胡粉を混色し、
明るめに調整して、下塗りをします。 - 栗皮茶と墨で混色して、二度塗りして、
水筆でぼかします。 - 黄土、胡粉で明るめに調整して、
細かい線を描きます。
② 黄土と墨だけで、①と同様に、
3段階に分けて塗っていきます。
③ 黄土、墨、鶯茶録、胡粉を混色して、
①や②と同様に、3段階で塗っていきます。
最後の線は、暗めの胡粉で描きます。
まとめ
今回は、若冲の雄鶏図の模写3回目として、
尾羽に見る若冲の色マジックについて、
白、黒、茶色の羽の表現について
解説しました。
いかがだったでしょうか?
今回は、ここまでです。
次回は、足の表現について、解説していきますね。
これが、またものすごく細かいんです。
お楽しみに。
では、また次回、お会いしましょう!