【墨彩画の作品集 ハスの花と小鳥】限りなく日本画に近い墨彩画を描く

蓮の花とかわせみ1

こんにちは。

墨彩画家でセラピストの桂颯
(けいそう)です。

 

今回は、

「蓮の花と小鳥」の墨彩画を

2点をご紹介し、

「限りなく日本画に近い墨彩画を描く」

というテーマで、

お話ししていこうと思います。

目次

作品紹介1

墨彩画 「蓮の花とカワセミ」No1

この作品は、

鉤勒法(こうろくほう)で描いた墨彩画です。

つまり、

写真(自分で撮影したもの)をもとに

下絵を作成し、

麻紙に下絵を転写し、

顔彩で彩色したものです。

作品紹介2

墨彩画 「蓮の花と翡翠」No2

この作品は、

No1と同じ下絵を使いましたが、

背景の構図と彩色を少し変え、

さらに水滴を加えてみました。

水滴を加えることで、

すがすがしさを表現したかったからです。

 

一発勝負の没骨法と違い、

鉤勒法では、

同じ下絵を何度でも使い、

作品を仕上げることができます。

この作品の他にも、

カワセミをすずめに変えて

描いてみました。

日本画っぽい墨彩画

先の2つの作品は、

日本画に似ていると思いませんか?

明らかに、和の花鳥画であり、

水彩画とは異なりますよね。

 

けれど、日本画ではありません。

 

日本画とよべないわけは?

通常、日本画とは、

岩絵具という絵具を膠で溶いて

描く絵のことをいいます。

 

しかし、私の作品は、

日本画で使う岩絵具を全く使っておらず、

顔彩チューブ絵具だけで描いています。

 

なので、

同じ和の色調の伝統的な花鳥画でありながら、

日本画とは呼べないのです。

簡易版日本画と言えるかもしれません。

もっと簡単に日本画を描きたい!

日本画では、

岩絵具という高価な絵具を使い、
しかも一色ごとに、膠を使って、

絵皿の上で溶きのばし、

指でよく練って、

最後に水で色の濃度を調整するという

かなり面倒な作業を行わなくてはなりません。

もっとお手軽に日本画を描くことはできないか?

ということで、

そこで日本画と、同じ色調を持つ、
顔彩や顔彩チューブを使って、
大好きな花鳥風月を描くことにしたのです。

墨彩画の二つの描き方

しかし、
こうして仕上げた私の作品は、

日本画とは呼べないので、
「墨彩画」と言っていますが、

一般的な「墨彩画」とも、

少し異なる気がします。

 

墨彩画には、

没骨法と鉤勒法という

二種類の描き方があります。

二つの技法については、

下記の講座を参照してください。

椿を鉤勒法と没骨法の二つの描法で描いてみました

この作品は、

鉤勒法による描き方になりますが、

一般的に「墨彩画」というと、
没骨法による描き方の方が
多い気がします。

初めて習った墨彩画は没骨法だった

白浪先生の「花菖蒲」

最初に墨彩画を教えてくださった

白浪先生は、
没骨法によるお花の描き方を

ご指導くださいました。

没骨法は、輪郭線を描かず、

最初から筆の技を使って、

形や色を表現する技法です。

 

私は、

毎回、先生の鮮やかな筆さばきと

美しい作品に感動したものです。

上にご紹介した先生の作品は、

授業中にささっと描いてくださったものですが、

何度見ても、ほれぼれする美しい作品なので、

いつも見えるところに飾ってあります。

ですが、

私には、一生描けない世界だと思いました。

書の技術を基本とする没骨法

没骨法では、
朝顔の描き方、木蓮の描き方、

菖蒲の描き方など、
定まった描き方があり、

筆の技を必要とします。

筆の技とは、書の技法を基本としていました。

なので、先生は、
最初の1年間は、

筆の扱いの練習のために、
隷書や行書(王義之)などの書についても、

同時にご指導くださったのです。

 

ありがたいことですね。

素晴らしい先生です。

 

しかし、何年たっても、

私の書も絵も、上達しませんでした。

若いころなら、まだしも、
50代後半で、学び始めるのですから、
そう簡単に筆の技術が上がるわけがありません。

そこで、
劣等生の私は、
筆の技が無くても、

墨彩画が描けないか?

と考えるようになったのです。

限りなく日本画に近い墨彩画へ

しかも、私の求める世界は、

水彩画ではなく、

あくまで日本の伝統的な花鳥画でした。

日本の風流な感性が好きなのです。

円山応挙や伊藤若冲、狩野派や琳派など、

古の日本の画家たちの描く絵の世界が

大好きなのです。

しかし、日本画は、

お金も時間もかかるので、
私には、無理でした。

しかし、私の周りに
簡単な日本画の描き方を教えてくれる先生は、
いませんでした。

結局、独学で、いろいろ調べ、

試行錯誤の末、たどりついたのが、

「限りなく日本画にちかい墨彩画」なのです。

つまり、顔彩を使って、

鉤勒法で描く墨彩画だったのです。

 

まとめ

今回は、

墨彩画「蓮の花と小鳥」作品を

2点ご紹介し、

「限りなく日本画に近い墨彩画を描く」

というテーマでお届けしました。

 

私の作品を、日本画と呼べないわけとは?

日本画や没骨法が難しい理由などなど、

私の個人的な主観を交えてお話ししました。

いかがだったでしょうか?

今回は、ここまでです。

最後までお読みくださりありがとうございました。

次回、またお会いしましょう。