【墨彩画の画材】水彩絵具と顔彩の違いについて解説します。

こんにちは、

墨彩画家でセラピストの桂颯
(けいそう)です。

今回は、
水彩絵具と顔彩の違いについて
解説したいと思います。

水彩絵具は、水彩画で使う絵具。

これは、私が使っているホルベインの透明水彩絵具です。

 

顔彩は、墨彩画で使う絵具。

どちらも、水で溶いて使う水性絵具です。

顔彩といっても、

顔彩チューブ絵具となると、


見た目も、その使い方も、

水彩絵具とほとんど同じになります。

では、
この両者には、

どういう違いがあるのでしょうか?

いったい、何が異なるのでしょうか?

 

そこで、
今回は、その違いについて、

顔料(色の原料)
メディウム(接着剤)
支持体(絵具を受け止めるもの)

の3つの観点から、

違いを解説していきたいと思います。

何故なら、
絵画はすべて、
顔料+メディウム+支持体で

区別できるからです。

例えば、
顔料を油(メディウム)で練れば油絵具となり、
それをキャンバス(支持体)に描けば、
油絵ということになります。

顔料とは

顔料は、絵具の色のもとになるもので、
天然鉱石や土、あるいは化学化合物を

砕いて粉末にしたもので、水に溶けません。

顔彩も水彩絵具も、顔料は同じですが、
色が異なるのです。

水彩絵具の色とは?

水彩絵具の一部を

水彩紙のはがきに塗ってみました。

色の名前は、

バーミリオンヒュー、サップグリーン、

バチターブルーなど、

カタカナで

表記されていますね。

とても鮮やかな発色です。

顔彩の色

 

日本画で使われる顔料と同じものが

使われていて、

私たち日本人には、

馴染みやすい和名で表記されています。

顔彩の色の方が、渋めで、
水彩絵具の色は、鮮やかという印象でしょうか。

メディウムとは

吉田博 「日暮里」

顔料は、水に溶けない粉末の状態なので、
そのままでは、紙に接着できません。

顔料どうし、顔料と支持体(紙、ボード
など)に接着させる役目を担っているのが、
メディウムなのです。

水彩絵具のメディウム

吉田博 「菖蒲園」

水彩絵具のメディウムは、
アラビアゴムです。

アラビアゴムというのは、

アフリカ原産のマメ科アカシア属のうち、

セネガル種、セヤル種の2種類の樹木から採れる

天然樹液を乾燥させたものです。

主な生産国はスーダンで、

80%を占めるといわれています。

アラビアゴムには、

水によく溶ける、
紙への接着性がよい、

という特異な性質があることから、

水彩絵具の糊(展色材)として

用いられるようになりました。

水彩絵具には、
透明水彩絵具
不透明水彩絵具
の2種類ありますが、

その違いは、

顔料とアラビアゴムの配合比によって決まります。

透明水彩絵具は、
顔料が少なく、アラビアゴムの量が多く

配分されています。

つまり、水でうすめて紙に塗ったときに、
顔料粒子はまばらに分散することになるので、
下地が透けてみえるのです。

このように、色を塗り重ねた際、
下地が透けて見える色を「透明色」と言います。

なので、透明水彩絵具は、
色を混ぜたり、塗り重ねることで、
美しい混色を表現できます。

また
透明水彩絵具の場合、
「白」は、「白」の絵具を使うのではなく、
紙の地色で表現します。

一方、
不透明水彩絵具は、
顔料が多く、アラビアゴムの量が少なく

配分されています。

つまり、溶液の中に

ぎっしり顔料がつまった状態なので、

下地を覆い隠してしまいます。

逆に言えば、

下の色の影響を受けずに

色を塗ることができるので、

重ね塗りに適しています。

この不透明水彩絵具のことを

「ガッシュ」と言います。

塗り重ねても下の色は見えないので、
白の絵具を後から塗って、

ハイライト的に使うことができます

一般的に「水彩画」というと、
透明水彩絵具で描いた絵のことを指しています。

 

顔彩のメディウム

色紙 墨彩画 こでまりの花

顔彩のメディウムは、
アラビアゴム、膠、砂糖、水あめなどです。

顔彩は、
日本画に使われる絵具と同じ顔料を
これらのメディウムと練り合わせ、固形にして、
角皿に入れたものです。

顔彩チューブ絵具は、
顔彩と同じ顔料に、アラビアゴム、

でんぷん糊などを混ぜて練り、

チューブに詰めたものです。

実は、

顔彩も、顔彩チューブ絵具も、
日本画を簡単に楽しめるように

造られた絵具なのです。

 

日本画というのは、
岩絵具や水干絵具という顔料を
1種類づつ、絵皿にとり、

少量の膠液を用いて指で練ったのち、

水を加えて溶きおろしてから、

筆に取るという作業があるので、

色をつくるまでに、

大変な手間がかかるのです。

その点、
日本画と同じ顔料でありながら、
水を含ませた筆で表面をなぞるだけで、

色が溶け出す顔彩や
絵皿にだして、

水で溶いて使える顔彩チューブ絵具は、

とても使いやすく、
お手軽に日本画を楽しむことができるんですね。

つまり、私が描く墨彩画は、

顔彩や顔彩チューブ絵具を使うので、

お手軽日本画と言えるということですね。

 

ただし、顔彩も顔彩チューブも、

定着力が弱いので、
描きたい墨彩画によっては、

膠液を足すことがあります。

顔彩チューブ絵具は、
不透明水彩絵具と同じ扱いです。

 

支持体とは?

水彩絵具にとっても、

顔彩にとっても、

支持体は、

絵具を接着させる「紙」となります。

水彩絵具の場合は
専用の水彩紙が用いられます。

水彩紙には、
紙肌、厚さ、素材、綴じ方などにより、
さまざまな種類があるので
描きたい技法に合わせて選びます。

有名な製品としては、
アルシュ、ラングトン、ワットマン、
ウォーターフォード、ワトソンなどがあります。

顔彩を塗るための紙には、
画仙紙、楮紙、麻紙、鳥の子紙などがあります。

墨彩画で言えば、

水墨を主にした没骨法で描く場合は、
画仙紙や楮紙を使うと、

墨色をデリケートに出すことができます。

また鉤勒法で描く場合は、
麻紙、白麻紙、鳥の子紙、雲肌麻紙などの
和紙が適しています。

没骨法、鉤勒法については、

下の講座をご覧ください。

椿を鉤勒法と没骨法の二つの描法で描いてみました

麻紙は、麻を基礎として、

楮、雁皮、三椏を混合して作られたもの。

 

鳥の子紙は、雁皮を主原料に漉かしたもの。

 

以上、
水彩絵具と顔彩には、

顔料の色、メディウムの種類、使う紙の種類に

違いがあります。

メディウムが異なるので、
水彩絵具と顔彩を

混色しない方が良いと思われます。

ただ、
工夫次第で、
一緒に使ってみるのも面白いかもしれませんね。

 

まとめ

今回は、水彩絵具と顔彩の違いについて、
顔料、
メディウム、
支持体
の3つの観点から解説いたしました。

いかがだったでしょうか?

今回は、ここまでです。

最後まで、お読みくださりありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。