【墨彩画の画材 墨のお話】松煙墨、油煙墨、墨汁の違いについて解説します。

こんにちは。

墨彩画家でセラピストの桂颯(けいそう)です。

 

さて、今回は、墨についてのお話です。

皆さんは、どんな墨をお持ちですか?

硯で磨って使う固形墨ですか?

簡単に使える墨汁ですか?

そもそも、これらの墨は、どういう材料で作られているのでしょうか?

固形墨と墨汁には、どんな違いがあるのでしょうか?

固形墨は、どういう種類があるのでしょうか?

 

今回は、そうした疑問にお答えする墨についてのお話です。

自分の使っている墨について、理解を深めると、

使い分けや扱い方法がわかって、

自信をもって墨を使うことができます。

 

さあ、今回も、楽しんで学んでいきましょう。

以下の内容で、お届けいたしますね。

墨の原料とは

墨の原料は、主に煤(すす)と膠(にかわ)です。

煤は、松の木や植物油を燃やして作ります。

膠は、牛や豚などの動物の骨や皮のコラーゲンから作り、

煤の粒子同士をくっつけたり、紙の繊維に接着させる役目を果たします。

 

固形墨と墨汁の違いは?

固形墨は、中国から伝わり、2000年以上の歴史があります。

固形墨は、煤と膠を練り合わせ、

香料(麝香「じゃこう」や龍脳)を加えて、

型に入れて乾燥させたもので、

天然素材のみでできています。

なので、硯で磨った墨は、傷みやすく、保存ができません。

但し、磨る前なら長期保存が可能です。

 

 

墨汁は、歴史が浅く、できたのは昭和の時代です。

墨汁は、墨を水と混ぜて液体にし、

防腐剤や合成樹脂などの化学薬品が加えられています。

使いたいときにすぐ使えるという利点がある一方で

化学薬品のために、筆が傷みやすくなるという欠点があります。

しかし、固形墨に比べて、安価というメリットもあります。

 

しかし、固形墨と墨汁の一番の違いは、粒子のサイズでしょうか。

固形墨の粒子は、0.2~0.6マイクロメートルに対し、

墨汁の粒子は、0.08~0.3マイクロメーターと細かいのです。

さらに、固形墨の場合、硯で磨って墨を作るので、

磨り方や硯によって、粒子の大きさが様々となり、

墨の濃さや色調を変えることができ、

深みのある表現ができます。

 

一方、墨汁は、粒子が均一であるため、

単調な表現となりがちです。

 

墨彩画では、固形墨をお勧めしていますが、

私は、習い始めのころは、

先生が下さった墨汁を使って練習していました。

とにかく筆の扱いに慣れることが先決だと思っていましたので、

お手軽に使える墨汁はとても便利でした。

固形墨の種類

松煙墨と油煙墨の2種類があります。

これらは、私が使っている松煙墨です。

松煙墨は、松の木を燃やしてできる煤を膠で練り固め、

木型に入れて成形後、乾燥させて作ります。

一般的に、松煙墨は青みがかっているといわれています。

 

これらは、私が使っている油煙墨です。

油煙墨は、菜種油や桐油などの植物油を

燃やしてできる煤を膠で練り固め、

木型に入れて成形後、乾燥させてつくります。

松煙墨より、煤の粒子が細かいのが特徴で、

油煙墨は、茶色みがかっているといわれています。

 

この2種類の固形墨は、見た目に特徴があるので、

すぐに見分けがつきます。

それは、磨り口につやがあるのが、油煙墨で、

つやがないのが松煙墨です。

これら2種類の固形墨は、

作品の好みで使い分けると良いと思います。

 

私は、水墨画を描く際に、滝や龍などは松煙墨で、

葡萄は油煙墨を使うことが多いです。

 

また最近では、鉱物油やカーボンブラックなどを燃やしてできた煤をつやかった墨もあるようですが、品質は、松煙墨や油煙墨に比べて劣るようです。

唐墨と和墨

唐墨とは、中国製の墨のことです。

この唐墨は、魁栄堂という筆屋さんから筆を購入したときに、

おまけで頂いたものです。

製造工程で使用する水分が少なく、乾燥したときの収縮率が低いため、

墨型の細工が美しく表れ、

美術品としての観賞価値が高いものもあるようです。

紙に浸透しやすく、にじみが美しく、味わい深いといわれています。

また寿命が非常に長いのも特徴です。

 

和墨は、日本製の墨のことで、

奈良県や紀州和歌山などで生産されています。

製造工程で使用する水分が、唐墨よりもやや多いことから、

乾燥は、灰の中で徐々に行います。

また、唐墨に比べて、煤の割合が高いので、

黒味が強いのが特徴です。

固形墨の磨り方

美しい墨色を引き出すには、墨の重さしか硯にかからないほどの弱い力で、

ゆっくりすることが良いとされています。

昔から、「墨は病人に磨らせるのが良い」と言われているほどです。

また、固形墨には、心を落ち着ける天然の香料が入っていますので、

墨を磨りながら、墨の香りや磨り音を楽しみ、

心を落ち着ける時間を持ちのも、また贅沢なひとときです。

 

墨のお手入れに関する注意点

①使い終えた固形墨は、表面を紙か布で、丁寧にふき取り、

入っていた桐の箱に戻して保存します。

②墨汁は、硯には出さないで、お手持ちの容器や絵皿に出して使います。

墨汁によって、硯の磨面がつるつるになって、

固形墨が磨れなくなってしまう可能性があります。

③ 固形墨を硯で磨った墨の残りは、保存がきかないので、

できるだけ、その日のうちに使い切りましょう。

④墨汁と固形墨は、使われている材料が異なるので、

混ぜて使わないようにしましょう。

 

 

まとめ

今回は、固形墨と墨汁、松煙墨と油煙墨、

唐墨と和墨の違い、墨の扱い方などについて、

解説いたしました。

墨に対する理解が深まったのではないでしょうか?

今回は、ここまでです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

次回、またお会いしましょう。