水墨画 西郷孤月「飛瀑」模写
こんにちは。
墨彩画家でセラピストの桂颯(けいそう)です。
今回は、
滝の練習のために、
明治時代に活躍した日本画家「西郷孤月」の「飛瀑」という作品を
模写いたしました。
といっても、実際の作品は、123.6×50.0cmと、
かなり大きく、また絹に描かれたものだと思いますが、
それを、36.0×15cmの麻紙に模写いたしましたので、
かなり簡略化されています。
さて、今回は、この「模写」について、
以下の内容で、解説してみたいと思います。
墨彩画に限らず、どんな絵でも、
絵の技術を向上させるために、最も有効な手段は、
「模写」だと思います。
では、「模写」とは、どういうものなのでしょう?
まずは、そこから解説いたしましょう。
目次
模写とは
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/04/river-5524569_1920.jpg)
「模写」とは、
手本となる絵を真似て、描きうつすことです。
古くから画家たちは、古典の模写を数多く行ってきました。
模写を行うと、作品を見るだけではわからなかったこと、
つまり、技法や画家の工夫、
そしてその精神性まで見えてくるからです。
私に墨彩画を教えてくださった白浪先生は、
「絵は読むものだ」と
よくおっしゃっていました。
実際に模写を行うと、
ただ見ていたときには気が付かなかった
さまざまなことがわかります。
模写を行うためには、
どこから、どんな順序で描かれているのか、
どの色から、どんな濃度で塗り始めたか、
どんな筆の技を用いているのかなどなど、
細部にわたって、読み取らなくてはならないので、
とても勉強になるんですね。
では、どんな作品を模写すればよいのでしょうか?
自分の好きな作品を選ぶのは当然ですが、
さらに、「この絵のこんなところを学びたい」と
はっきり目的意識をもって模写すると、良いと思います。
西郷孤月の「飛瀑」を模写しようと思ったわけ
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/04/waterfall-5523833_1920-1.jpg)
滝のモチーフは、
昔から、多くの水墨画家や日本画家に好まれて
描かれることが多いのですが、
画家によって、その描き方はさまざまです。
たくさんの作品を鑑賞した結果、
滝を描いた作品の中で、私が、最も好きな作品は、
川合玉堂、明治42年の作品「瀑布」でした。
202.0×84.0cm、絹本彩色の大型作品ですが、
玉堂美術館で、実物を見たときに、
ゴーゴーという滝の音や吹き抜ける風を感じるほどに、
圧倒されたのです。
今回模写した西郷孤月の「飛瀑」は、
最近購入した本に、作品の写真が8×20cmの縮小サイズで、
掲載されていたのですが、
一目見て、すっかり魅了されてしまったのです。
崖から流れ落ちる水が、とても清らかで、
墨で描かれた崖と、白く描かれた水の部分の割合が
絶妙で、神々しいまでに美しいのです。
「こんな滝を描いてみたい」と心から思いました。
川合玉堂と西郷孤月のどちらの「滝」の作品が
好きかというと、甲乙つけがたい。
どちらも、大好きな作品です。
しかし、今回、西郷孤月の作品を模写に選んだのは、
「崖の部分の描き方」を学ぶ上で
参考になると思ったからです。
西郷孤月の「飛瀑」を模写して気が付いた点
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/04/mountain-6086083_1920.jpg)
西郷孤月の作品を模写してわかったことは、
崖は、一見、単調に描かれているように見えましたが、
実は、大変、細かな部分まで描きこんだ後、
上から全体に墨を重ねて塗り、
表情を柔らかくしているのではないか
ということです。
大型作品であるし、実物を見ていないので、
実際のところは、わかりませんが、
今回は、そうした点を工夫して模写してみました。
画風は模写から生まれる
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/04/person-5843476_1920.jpg)
画家には、独自の画風というものがありますが、
生まれつきの個性かというと、そうではなく、
最初から、身についていたわけでもありません。
さまざまな作品の模写を数多く行ううちに、
次第に自分の好みや進むべき方向が見えてきて、
自分らしい作品が描けるようになるんですね。
私は、墨彩画を習い始めて数年間は、
先生の描かれたお手本をひたすら模写して
練習を重ねました。
しかし、ある程度、描けるようになると、
だんだん描きたいものが定まってくるんですね。
それから、自分の好きな有名画家の作品の
模写を行うようになりました。
私の模写作品
これまで、雪舟、松林桂月、円山応挙などなど、
さまざまな作品を模写してきましたが、
以下の作品2点をご紹介いたします。
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2020/06/a8c76b4df4c4c0ab15257720bcf1bc81-scaled.jpeg)
天龍寺の天井絵 加山又造の「雲龍図」
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2020/07/17fa9174d046e978eed0a8116100ba89-scaled.jpeg)
白浪先生の「枝垂れ桜」の一部抜粋
まとめ
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/04/IMG_5690-2-scaled.jpg)
今回は、「水墨画 西郷孤月の「飛瀑」の模写作品をご紹介するとともに、
「模写」とは、模写を行う意味、今回模写して気が付いたこと、
過去の模写作品の紹介など、解説いたしました。
いかがだったでしょうか?
今回は、ここまでです。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。
また次回お会いしましょう。