【顔彩で描く絵手紙シリーズ】山茶花:ピンクのグラデーションの描き方

こんにちは。
墨彩画家でセラピストの桂颯(けいそう)です。

さて、今回も、
絵手紙シリーズの2回目「山茶花」の描き方をお届けします。

墨彩画初心者には、ぴったりの絵手紙ですが、
なんと、私の方がはまってしまいました。

ずっと、若冲の雄鶏図の細かい細かい模写を
やり続けていた反動かもしれません。

シンプルで文章を添える絵手紙は、
とても気軽で楽しいのです。

それに、描写が繊細なこれまでの墨彩画とは異なり、
割合、短時間で描けるので、描き方動画は、
カットなしで、ほぼ全ての工程をお見せすることができます。

最近、導入した新しい動画編集ソフトも、
ようやく使えるようになってきたので、
さらにわかりやすくなったと思います。

作成した動画を見ていただければ、
こちらのブログに細かく描き方を解説しなくても、
ほぼご理解いただけると思います。

そこで、今回は、最初に、
「山茶花の絵手紙」の描き方動画をご紹介します。
私の声による解説動画です。

では、早速お楽しみください。

動画の後に、ピンクのグラデーションの描き方についての
詳しい解説をいたしますね。

目次

山茶花の描き方動画

この動画が参考になったと思われたら、
ぜひ、プロフィールのYoutubeチャンネルに
飛んでいただき、登録をお願いします。

ピンクのグラデーションについての解説

ピンクのグラデーションの描き方は、
筆遣いにコツがあります。

まず、筆で胡粉をたっぷり取り、
絵皿の上で、筆に含ませていきます。

絵皿にとった胡粉の上で、
筆を何度も左右に動かしていると、
次第に、胡粉が筆全体に含まれていきます。

次に、筆先で、ほんの少しの燕脂をとり、
絵皿の上で、胡粉と混色して、ピンク色を作ります。

このとき、上図のように、
筆の上半分〜1/3でピンク色を作ります。

最後に、筆先に、少しだけ燕脂を取ると、

上図のように、筆の中で、
すでにグラデーションができています。

花びらを塗るときに、

筆先を使えば、濃いピンク色が出てきて、
少し筆を寝かせれば、薄いピンク色がでてきて、
筆の根元まで寝かせれば、胡粉の白い色がでてきます。

筆の角度で、色の変化が楽しめるというわけです。

顔彩の取り方にも、注意が必要です。

燕脂は、かなり強い色味なので、
ごくごく少量にとどめます。

燕脂が少しでも多いと、あっという間に、
胡粉は赤い色になってしまいます。

いきなり、葉書に塗るのではなく、
事前に、別の紙で試してみると良いでしょう。

山茶花のお話

山茶花は、ツバキ科ツバキ属の一種ですが、
ツバキとは異なります。

ツバキは、早春から春にかけて咲きますが、
山茶花は、10月から1月に開花します。

季語としては、ツバキは「春」
山茶花は、「冬」なんですね。

ツバキとの大きな違いは、散り方にあります。
ツバキは、花ごと落ちるのに対して、
山茶花は、花びらが散っていきます。

今回、モデルになってくれたこの山茶花も、
描き終わる前に、一枚一枚と、花びらが散っていきました。

山茶花を一輪挿しにするときは、
かなり気をつけないと、すぐに花弁が散ってしまうのです。

このお花も、そーっとそーっと持ち帰りました。

この山茶花の過酷な歴史

今回の動画の中でお話ししたように、
この山茶花は、金木犀の後ろに咲いていたので、
庭に分け入って入らないと、全く見えません。

なぜ、そんな場所に咲いているかというと……。


今から、30年以上まえ、
現在の家に引っ越ししてきたときに
最初からお庭に植えてあったのですが、
当時、お庭を管理していた母が、「地味すぎる」といって
引っこ抜いてしまったのです。

母が熊本から持ってきた肥後椿や芍薬に比べたら、
確かに、目立たないし、地味に見えました。

しかし、「かわいそう」と感じた主人が、
そっと、お庭の目立たない場所に、
ひっこぬいた苗を植えたのです。

でも、すぐに母に見つかって、
また引っこ抜かれてしまいました。

そこで、今度は、私は、
引っこ抜かれた山茶花を鉢に植え替えて、
木犀の裏のめだたないところに置いたのでした。

それっきり、20年間、私は忘れていました。

そして、ある冬の朝、
なにか、清らかなピンクの色が、
目の端に入ってきたような気がしたのです。

近づいて行ってみると、
なんと、20年前に植えた山茶花が、
木犀の後ろに、ひっそり咲いているではありませんか?

その山茶花の花びらのピンクが
なんと、清楚で美しかったことでしょう!

山茶花の清らかさが、心に染み入ってくるような
感動を覚えました。

今では、お庭で最も好きなお花になっていて、
毎年の開花を楽しみにしているのです。

20年前には、全く気がつかなかったことです。

見ていても見えていないこと

私は、山茶花に教えてもらったような気がします。

見ていても、心の目が閉じていれば、
見えていないこともあるということを。

心にゆとりがなければ、何も見えていないのかもしれない。

自転車で走っているときに、
道端に咲いている「すみれ」の花に気がつかないように。

心にゆとりを持とう!

そう気づかせてくれた、大切なお花なのです。

まとめ

今回は、

「顔彩で描く絵手紙シリーズ」2回目
山茶花:ピンクのグラデーションの描き方について
動画を交えて解説いたしました。

いかがだったでしょうか?

今回は、ここまでです。

最後までお読みくださり
ありがとうございました。

また次回、お会いしましょう。