こんにちは。
墨彩画家でセラピストの
桂颯(けいそう)です。
今回は、
「朝日に輝く葡萄」の描き方、
特に、墨彩画では描かれることの少ない
光の表現法について、
以下の順番で解説したいと思います。
最後に、
「朝日に輝く葡萄」の描き方動画を
ご紹介しますので、
楽しみにご覧くださいませ。
目次
昔の日本の絵画では、光は表現されなかった?
私の記憶が正しければ、
明治時代以前、
日本の伝統的な絵画では、
光というものを表現することは、
ありませんでした。
仏画の光背のように、
金箔で光のイメージを描くことは
あったかもしれません。
しかし、
光そのものが表現されることは
無かったように思います。
西洋画の光の表現方法は?
一方、西洋画では、
古くから、光の表現について、
多くの画家たちが
工夫を凝らしてきました。
最初は、明と暗の対比により、
光が表現されていました。
つまり、光を表現するために、
光が当たっていない部分を暗くすることで、
光を際立たせるという方法です。
しかし、光を強調ために、
暗い色を乗せ混色するので、
絵具の明度は低くなり、
どうしても画面全体が暗くなってしまいます。
確かに、西洋美術館で見る古い絵画は、
暗い絵が多いですよね。
しかし、
モネやルノワールに代表される
印象派が出てくると、
画風は一変します。
印象派の画家たちは、
自然の中の光を色彩によって、
描こうとしたのです。
そのために、
純色(混ぜてない色)の絵具を使うことで、
明度を高める工夫をしました。
純色の絵具を多数の点のように描くことで、
絵の明度を保ちつつ、
離れた所から見たときに
色が混ざり合って見えるようにしたのです。
今回、
私は、墨彩画で、
「葡萄に当たる朝日」を表現するために、
三つの工夫をいたしました。
工夫1、光を点ではなく面で表現
一般的な墨彩画での葡萄の表現では、
葡萄に当たる光は点で表現されます。
これは、
以前、私が、没骨法で描いた葡萄の絵です。
一般的には、葡萄の墨彩画は、
没骨法で、このように描かれます。
しかし、今回、私が描きたかったのは、
葡萄に当たるさわやかな朝の光であって、
葡萄ではなかったので、
どうしても光を点で表現したくありませでした。
実際に、
早朝のすがすがしい空気の中で、
葡萄の実は、美しく透き通り、
全体が神々しく輝いていたからです。
そこで、胡粉を使って、
光を点ではなく、面で表現したのです。
工夫2 葉っぱの明度と彩度を落とす
実際の葉っぱは、
きれいな緑色をしています。
しかし、葡萄の光を強調するために、
葉っぱの緑には、墨を混色し、
色の明度と彩度を落としました。
葡萄の実と葉っぱの両方の色が
鮮やかになると、
光は目立たなくなってしまうからです。
先にご紹介した、西洋画の描き方、
明と暗の対比の方法ですね。
工夫3 背景の色を一段暗くする
これも、明と暗の対比の方法です。
後でご紹介する動画の最初では、
黄土と鶯茶緑+緑青の混色で、
背景を薄く塗っていましたが、
これでは、
あまり光が浮きでてこなかったので、
途中で、背景を暗くしました。
しかし、光を強調するために、
これ以上、背景を暗くすると、
月夜の葡萄になってしまいます。
朝の光にできるギリギリのところで、
背景の色を調整しました。
葡萄は特別なモチーフ
葡萄は、ずっと描き続けているモチーフです。
特別な思い入れがあるからです。
月と葡萄
過去に、水墨画で
月夜の葡萄を何度も描いてきています。
こちらの葡萄は、
月に照らされる葡萄を描いています。
私は、葡萄を描く時、
どうしても朝日や月の光など、
光をテーマにしてしまうのです。
葡萄を通して見つめる先は、
神聖なものへのあこがれ、
祈りなのだと思います。
数年後、
もっと美しい葡萄が
描けるようになっていればいいなと
願っています。
朝日に輝く葡萄の描き方動画
今回の描法は、「鉤勒法」により描きました。
画材や描き方は、
中級講座のハガキ絵と同じですので、
そちらを参考にしてください。
視聴時間節約のために、
動画は、2倍速、4倍速で作成しています。
まとめ
今回は、
「朝日に輝く葡萄の描き方」をテーマに、
日本における光の表現
西洋画における光の表現方法
私が行った光の表現の三つの工夫
葡萄についての特別な想い
月と葡萄の作品集
葡萄を見つめる先は
について、お話しました。
いかがだったでしょうか?
今回は、ここまでです。
最後まで、お読みくださり
ありがとうございました。
また次回お会いしましょう。