こんにちは。
墨彩画家でセラピストの桂颯(けいそう)です。
今回は、私がこれまで描いてきた龍作品を
お届けしようと思います。
決して、自信があるからご紹介するわけではなく、
描くたびに、問題点が出てきて、その度に四苦八苦しているので、
その軌跡を振り返りながら、一緒に見ていこうという趣向です。
私が、初めて「龍を描きたいんです!」と先生に言った時、
「女性のあんたがねえ。へえー。珍しいねえ」と言われました。
しかも、「白龍を描きたいんです!」というと、
先生は、「白い龍を描く人はあまりいないよ。難しいから」と
苦笑されました。
「私は、美しい白い龍が描きたいんです!」
どうしても描きたかった私は、無理矢理頼んで
とにかく龍の描き方のご指導を受けました。
お寺の天井や襖絵などに、たくさんの龍を描いてこられた先生に、
龍の模写を習い、数回手ほどきを受けました。
でも、あとは独学で描き続けています。
私の中にいる「白龍」は、私にしか見えないからです。
目次
龍との出会い
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5749-968x1024.jpg)
箱根にある飛龍の滝を見に行った日の夜、
真っ白い龍が、天に登っていく夢を見ました。
それから、すっかり白龍に取り憑かれてしまったのです。
とりあえず、画用紙にスケッチしたものですが、
イメージとしては、こんな感じの夢でした。
真っ白で美しい龍が描きたい!!
模写から始める
基本的な龍の描き方を先生から習い、有名な龍作品の
模写から始めました。
![雲龍図模写1](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2020/07/IMG_5513-2-1024x723.jpg)
初めて描いた模写作品です。
![加山又造「雲龍図」模写](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2020/06/a8c76b4df4c4c0ab15257720bcf1bc81-1-1024x790.jpeg)
日本画家加山又造画伯が天龍寺の天井に描いた「雲龍図」の模写です。
模写しながら、加山氏の気迫に圧倒されました。
絵に込められた気のエネルギーは、時代を超えて
伝わるのだと確信しました。
初めての自分の作品
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5770-973x1024.jpg)
自分の中から生み出した初めての白龍作品です。
練習と思って、手元にある安い画仙紙にさっと描きました。
辿々しい筆遣いで、構図もなにもなっていないのですが、
龍の顔は、自分のイメージに近い作品になったような気がして
気に入っています。
作品2号
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5750-1024x1007.jpg)
これは、水彩紙に描いたF10作品です。
それまで、水墨画で龍を描いていたので、
滲みの多い画仙紙を使っていました。
私の遅い筆遣いでは、細かい部分がうまく描けません。
そこで、にじみの全くない水彩画紙に描いてみました。
でも、水彩画紙の場合、白い色は、
塗り残しで表現します。
画仙紙とは、かなり勝手が違いましたが、
とりあえず、ゆっくり描くことができました。
とにかく迫力を出したくて、目を赤にしたり、
火炎を赤金の顔彩チューブで描いてみましたが、
どうも、とぼけた表情の龍です。
迫力というのは、小手先の技法で表現できるものではない
と思いました。
気持ちばかりがはやって、火炎を多く入れすぎました。
火炎の描き方を先生に習いました。
作品3号
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5754-1024x983.jpg)
これも水彩紙に描いた小さな作品です。
周りを暗くすれば、白い龍が浮き出てみえるかもしれないと思い、
こんな構図を考えてみましたが、
そんな単純な問題でもなさそうです。
白龍は、確かに難しそうです。
月を見ている白龍ですが、可愛くなりすぎました。
作品4号、5号、6号
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5753-1011x1024.jpg)
再び、F10の画仙紙に描いた水墨作品。
ゴチャゴチャしていて、まとまりのない構図です。
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5756-1-983x1024.jpg)
最初に描いた模写作品と同じ構図で描いてみました。
龍が笑っているみたいです。
描けば描くほど、
自分の龍を描く難しさを実感。
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5757-1024x1024.jpg)
厳しくて、強くて、こちらの内面を見据えるような
力強い目を描きたくて、赤目にしたり、金を入れたり
いろいろ工夫しましたが、気持ち悪くなるばかり。
いったい、目は、どう表現すればいいのだろう?
過去の有名な龍作品をたくさん見て
勉強をする。
やはり、円山応挙も雪舟も、狩野永徳も狩野探幽も、
横山大観も凄いと思う。
でも、ネットや画集で見る絵は、実物より小さすぎて、
細かいところはよくわからない。
実物が見たい!!
白龍7号
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5752-1-1024x983.jpg)
F20の画仙紙に描きました。
ようやく、自分らしい作品に近づいてきました。
先生が、爪や目に修正を加えてくださいました。
でも、どうしても、私の龍は、ほほえんでしまうのです。
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5751-1024x982.jpg)
作品8号、9号
![水墨画 白龍8](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2021/02/8f7f2b37dac8668ed84ba27fb734e132-972x1024.jpeg)
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2020/07/IMG_5128-2-818x1024.jpg)
私の悩みの種は、どうしても龍の表情に
迫力がたらないことです。
無理矢理、迫力を出そうとしているのが、みえみえ。
龍の目にこだわりすぎて、自分の描きたい美しい龍から
どんどん遠ざかっていく気がする。
甘ったるい私には、迫力ある龍は描けないのかもしれない。
墨彩画の白龍作品1号
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5755-983x1024.jpg)
初めて、墨彩画で「白龍」を描きました。
私の白龍は、水墨画よりも、墨彩画の方が
うまく表現できるのかもしれません。
現在、この作品は、気に入ってくださった方のお宅に飾られています。
でも、問題点が残りました。
やはり、龍の表情がやさしすぎること。
そして、波の表現がデザインっぽくなりすぎたこと。
墨彩画の白龍作品2号
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5741-926x1024.jpg)
![](https://keisou11.com/wp-content/uploads/2022/03/IMG_5740-900x1024.jpg)
今回は、墨彩画で雲龍図にしてみました。
白龍の白をいかすために、雲を黄土で表現しました。
雲は、円山応挙を目標にして、水でぼかしながら
渦巻きを表現しました。
まだまだ納得できませんが、少しづつイメージに
近づいてきています。
次の課題ポイント
ポイント1、龍を墨の線で囲わずに、
白い面だけで表現すること
ポイント2、龍の白は、薄い胡粉を何層にも重ねて、
細やかに表現すること
ポイント3、目に力を持たせること
ポイント4、雲の渦にもっと勢いをつけること
次回作、乞うご期待!