【顔彩で描く模写シリーズ】若冲の雄鶏図④:脚の驚異的な点々表現?!

こんにちは。
墨彩画家でセラピストの桂颯(けいそう)です。

さて、今回は、若冲の雄鶏図模写4回目となります。

前回は、「尾羽」の驚異的な色マジックについて
お伝えいたしました。

たった一枚の白い羽を描くのに、
なんと5段階もかけていて、びっくりしましたね。

今回は、脚の部分の表現ですが、
これまた、すごく細かくて、
小さな点々がびっしり描かれていました。

私は、脚の部分だけ描くのに、
途方もない時間をかけてしまったので、
他の絵がちっとも描けませんでした。


しかも、あまりの細かさに、写真の解像度が追いつかず
よく見えないのです。

若冲は、一枚一枚、こんなにも手間暇をかけた
「動植綵絵」を相国寺に寄進しているんですね。

実家が裕福で、生活に困ることはなかったとはいえ、
これほど手をかけた絵を売らずに、お寺に寄進するというのは、
よほど信心深かったとしか思えません。

心から仏教を信じ、仏に捧げる絵だからこそ、
これほどまでに自分に揺るぎなく、
細密に描けたのかもしれません。

ただただ、驚くばかりです。


もし、模写していなかったら、
「若冲って、すごいなあ。細かいなあ」
終わっていたでしょう。

本当に勉強になります。

それでは、早速、見ていきましょう!

あまりに細密に描かれているので
、もはや画集の写真の解像度では
細部まで確認することができませんでした。

実物を見たい!

こんなに切望したことはありません!

そこで、拡大鏡を駆使し、
何度の何度も、見直しながら模写していきました。

目次

模写した足の部分

上に示したように、
4つの部分に分けて解説していきますね。

① 爪の先は尖らせる

濃い墨で、爪の先は鋭く尖らせます。

ただ、先端が細すぎても、ダメ。
この足で蹴られたら、怪我しそうな力強いイメージです。

なかなか難しい!

②脚の背面の脚鱗

鶏の脚は、鱗状の脚鱗(きゃくりん)に覆われています。

脚の前面は、規則正しく筋が入っていますが、
背面は、不規則な粒状の隆起に覆われていて、
若冲は、点々で表現しています。

実は、この点々は、なかなか難しく、
最初は、面相筆で描こうとしましたが、上の図のように
線状になってしまうので、後で削用筆の先を尖らせて
点を一つづつ、きれいな○になるように
丁寧に描くようにしました。

点の色も、暗めの色から明るい色まで、
場所によって、微妙に色分けされていて、
背景の中から、点が浮き出るような工夫がされています。

脚の前面の脚鱗

脚の前面は、筋状に線で描きます。
写真を見ながら、一段一段に、
黄土+鮮光黄、あるいは黄土+栗皮茶などで
細かく色分けして塗っていきます。

脚の上の羽毛

羽毛の一枚一枚の外側のラインを描き、
黄土+栗皮茶+墨+胡粉を薄く混色して
下塗りをします。

次に、羽毛の内側には、少し濃いめで二度塗りをして、
水筆でぼかしていきます。

さらに、羽毛の細かな線を描き入れます。

羽毛の外側に胡粉でラインをひき
中心線を入れていきます。

最後に、黒い羽毛を細い線で描き入れます。

まとめ

今回は、鶏の脚とその上の羽毛の描き方について
解説いたしました。

脚の前側と背側は、表現が異なります。

背側の脚鱗は、細かい点々で描かれていること、
点々は、丁寧に丸くなるように描く必要があること、

脚の上の羽毛は、下塗り、二度塗り、白い毛、黒い毛と
数段階にわたって塗り分けていったことなど、

解説いたしました。

いかがだったでしょうか?

今回は、ここまでです。

最後までお読みくださりありがとうございました。

次回は、鶏の頭部で「とさか」から首にかけて
描きます。

この「とさか」の部分が、なんと、これまた赤い点々の嵐です。

どうぞ、お楽しみに!