心が曇っていると見ても見えない  水墨画「山茶花」

墨彩画 山茶花

色紙サイズ 水墨画「山茶花」水彩紙 2019年製作

私は、この山茶花の美しさに、20年以上も気が付かなかった。

同じ庭に咲く芍薬や椿に比べて、あまりにもな地味なものだから

私の目には、つまらない花に見えていた。

ある朝、金木犀の裏側にちらっとピンクの花びらが見えて、山茶花の存在に気が付いた。

その薄紅色の花びらのなんと、清楚で美しかったことか。

下の葉が透けて見えるほど薄い花びらは、私の心に染み通ってきて、きらきら輝いて見えた。

一体、私は、今まで、この花の何を見ていたのだろう。

自分の価値観にとらわれていると、真実の姿は見えないものだ。

人の言葉もそうかもしれない。

義母の言葉の真意に気が付いたのは、亡くなって数年たってからだった。

心が曇っていると、見ていても見えないことがある。

大切なことを見落としてしまうことがある。

ちっぽけな自分の価値観にとらわれないようにしよう。

とてもとても難しいことかもしれないけど。