F4 蓮の花 水墨画 ハーネミューレ紙 2020年製作
蓮の花の花ことばは、「神聖」「清らかな心」。
蓮は、泥水の中で育つのに、清らかで美しい花を咲かせることから、仏教では、古くから神聖視され、仏教絵の中によく描かれています、
この花を見ると、優しかった憧れの女性Aさんを思い出します。
「お願いだから、私のお金を取らないで」
どんなに真心を尽くして介護しても、認知症の義母は、泣いて訴えたそうです。
なんとつらく悲しいことでしょう。
Aさんは、義母に責められても責められても、何年も黙って静かに耐えたのです。
どんなに苦しい状況の中でも、決して人を恨まず、涙を流しながら天を仰ぎ、祈りながら、清らかに生きてきたAさん。
どれほど多くの人が、Aさんに救われてきたでしょう。
泥水の中で、もがき苦しんできたからこそ、見える真実がある。
先日、Aさんは、天に召されましたが、たくさんの宝物を私たちに残してくれました。
私は、Aさんのあの透き通るような美しい声を忘れない。
常懐悲観 心遂醒悟(じょうえひかん しんすいしょうご)
この言葉は、法華経に書かれている言葉です。
悲しみは、外に出さず、常に心のうちに抱いていれば、いつか、心は醒めて悟りに至るという意味です。
Aさんが体現して教えてくれているような気がします。