こんにちは。
墨彩画家でセラピストの桂颯(けいそう)です。
さて、今回は、
前回に引き続き、
「模写で学ぶ鷹の描き方」講座の2回目、
小原古邨(おはらこそん)に学ぶ「鷹」の描き方について、
細かく解説していきたいと思います。
小原古邨は、版画家です。
小原古邨については、こちらの講座をご覧ください。
古邨のこの鷹の絵は、版画なのかもしれませんが、
細かい部分まで描写されていて、驚くばかりです。
ただ絵を眺めているだけではわからない
画家の筆づかいや技法、気配りなどが、
模写を行うことで、
いろいろわかってくるので、大変勉強になります。
今回の講座では、
まず、①模写の手順
・どういう順番で、模写を行っていったか
・使った顔彩の色や描き方の工夫などについて解説し、
次に
②小原古邨に学んだ点
つまり、どういう部分で勉強になったかについて、
解説していきますね。
目次
模写の手順
①写真の編集加工
パブリックドメインから
ダウンロードした古邨の「鷹」の絵を編集加工して、
「鷹」の部分だけにしました。
②コピー機で、A4で印刷
③トレーシングペーパーに写す
印刷した鷹の絵の上に、
トレーシングペーパーを置き、
上から鉛筆で鷹の絵を写します。
④転写
チャコペーパーを使って、色紙大の白麻紙に
転写します。
転写については、
墨彩画の鉤勒法(こうろくほう)のやり方とほぼ同じですね。
⑤墨で骨描き
転写した線の上から、墨で骨描きをします。
ただし、墨に胡粉を少し混ぜ、
薄めに骨描きします。
⑥背景を塗る
印刷した「鷹」の絵の背景の色に
できるだけ近づけていきます。
私は、
黄土+胡粉+墨で、色の調整を行いました。
⑦鷹の下塗り
使った絵具は、
黄土、栗皮茶の2色と、墨、胡粉だけです。
この4色を細かく調整して、
さまざまな色のバリエーションを作ります。
① の左側は、上記4色のうち、胡粉をやや強めに、
真ん中部分は、栗皮茶を、右側は墨を多めに混色して、
水筆でぼかしながら塗っています。
微妙な色の変化にご注意ください。
②では、下の部分は墨がやや多めですね。
③ 栗皮茶は、ほとんど入っていません。
④ 木の幹は、墨の割合を多くし、
にじみをいかして描いています。
⑧ 初列風切の縁取り
初列風切については、
前回の講座に解説していますので、参照してください。
墨に少しだけ栗皮茶を入れて、
線を引き、上側をぼかします。
⑨ 細かな羽毛
写真の絵を見ながら、削用筆で、一筆一筆、
色を変化させながら、細かな羽を塗っていきます。
⑩ 仕上げ
①目と嘴は、この絵の最も重要な部分なので、
面相筆で慎重に塗っていきます。
瞳と嘴の先端は、濃い墨でくっきり描きます。
目と嘴の際の部分に胡粉を塗ります。
② 足の爪も、濃い墨で鋭く描きます。
一筆で描き、先端をとがらせます。
③ 白い羽の部分は、
面相筆の先を尖らせて、
シュッシュッと細い線で描きます。
小原古邨に学んだ点
① 絵の焦点は、鷹の顔にあります。
見る人の視点が、ここに集まるように、
顔の描写を最もくっきりと描き、
周りのぼんやりした線と対比させます。
② 目と爪と嘴は、濃い墨で鋭く描かれて、
鷹の強さが表現されています。
③ 下塗りの薄くぼかされた色の上に、
細かい羽の線が描かれることで、
羽毛の質感が出ています。
④ 羽の上に描かれた、細く鋭い墨線で、
鷹の絵全体がぐっと引き締まって見えます。
⑤ 木の幹は、たらしこみ技法で描かれていて、
鷹の鋭い表情とは、対照的に
木の立体感が柔らかく表現されています。
⑥ 鋭い爪が、はっきり見えるように、
爪の周囲は、白っぽくぼかされています。
⑦ 背景に見える木の枝は、薄い墨色で描かれていて、
主役の鷹と脇役が、明確に区別されています。
反省点
1、木の幹のたらしこみがうまくできなかった。
2、嘴の先を鋭くとがらせることができなかった。
嘴や爪は、筆の一発勝負です。
3、細かい羽毛の表現が甘くなった。
古邨の羽毛は、筆の一筆一筆に力強さがありますが、
ぼんやりとした線になってしまった。
4、目の表情がいまいち。
ほんの少しの線のゆがみで、
目の表情は全く違ってきます。
鳥の目は、命を吹き込む場所のような気がしました。
まとめ
今回は、
小原古邨の「鷹」の絵を模写する手順や描き方、
勉強になった点などについて解説致しました。
実際に古邨が版画の下絵として描いたときに
使った絵具は、岩絵具だったと思います。
顔彩でも、頑張れば、ここまで近づけることができるんですね。
描き方動画
ちょっとしたトラブルで、
今まで使っていた動画編集ソフトが
使用不能になってしまいました。
新しい動画編集アプリを使ったので、
思うように編集できませんでした。
ダイジェスト版となっています。
では、今回はここまでです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
次回、またお目にかかりましょう。