【顔彩を使った葡萄の描き方】あなたが描きたいものは何ですか?この葡萄の絵にこめられたストーリーについて、お話します。

こんにちは。

墨彩画家でセラピストの桂颯(けいそう)です。

葡萄は、私にとって特別の想い入れがあり、

これからも描き続けていきたいモチーフです。

 

描きたいのは、いつも、光に照らされる葡萄。

 

葡萄の先にある、祈りの世界なのです。

 

今回は、
そんな葡萄にまつわるストーリーや、

墨彩画や水墨画を描いた時の技法についてお話したいと思います。

最後に、

この作品の描き方のダイジェスト版動画をご紹介しますので、
最後まで、ゆっくりご覧ください。

 

目次

初めて葡萄の描き方を習ったとき

白浪先生に、初めて、
葡萄の描き方を習ったときは、
鳥の子紙の色紙を使った、
没骨法による描き方でした。

葡萄の実は、右から、左からと二筆で描き、

葉っぱは、秋の紅葉をイメージして、

緑や茶などさまざまな色をたらしこみ技法で、

描くやり方です。

鳥の子紙は、吸収しない紙なので、
紙の上で、きれいに絵具の混色ができるのです。

 

なかなか難しい課題でしたが、

頑張って制作した宿題をもっていったとき、

「この葡萄のつるの巻き方は不自然」

と指摘されました。

 

しかし、私は、葡萄の実物を見ていないし、

習った技法の習得に一生懸命で、

つるの巻き方までは、手がまわりませんでした。

 

近所でも、葡萄を育てているところはなく、

写真ではよくわかりません。

 

葡萄を求めて山梨へ

好奇心旺盛の私は、
葡萄の葉っぱが、どういう形で、

どういう風に実がなるのか、知りたくて、
山梨までブドウ園を見に行ったのです。

山梨には、たくさんのブドウ園やワイナリーがあり、
さまざまな種類の葡萄を見ることができました。

たくさん写真も撮りました。

 

しかし、どれも、大きなブドウ棚に仕立ててあるので、

棚からぶら下がった葡萄を見るばかりで

、自然の姿の葡萄を見ることができませんでした。

 

私は、どうしても、

葡萄の葉っぱやつるがどのように伸びるのか、

葡萄の実は、どこからぶら下がっているのか、

知りたくて、結局、自分で育てることにしたのです。

 

デラウェアを育てる

大きな葡萄は、難しそうだったので、
デラウェアの苗を一株買ってきて、

育てることにしました。

 

買ってきた最初の年は、

全く実はなりませんでしたが、

木は一回り大きくなりました。

 

実が付き始めたのは、翌年からでした。

葡萄の成長をゆっくり観察できるのは、

本当にうれしいものです。

 

葡萄の小さなお花が咲き始めるころから、

実がどんどん大きく育ち、色づき始めるところまで、

わくわくしながら観察したものです。

 

調度、実が熟しかけたころでした。

友人の訃報を聞いたのは。

 

亡き友人と葡萄

全く思いがけないことでした。

そのころ、熟しかけた葡萄は、

朝日に照らされてきらきら輝いていました。

 

それ以来、朝日に照らされる葡萄を見ると、

条件反射のように、せつなく、悲しく、懐かしく、

それでいて、澄んだ気持ちがしてくるのです。

 

どうしても、そういう気持ちになってしまうのです。

 

墨彩画 朝日に照らされた葡萄

構図から配色まで、すべて、

自分で描いた初めての作品です。

 

それまで、ずっと

先生の描いた作品を模写ばかりしていたのです。

 

しかし、私が葡萄に対して感じる、

友人への神聖な祈りの想いは、

先生の描かれた葡萄の形では、

どうしても表現できない気がしたのです。

 

どうしても自分の想いを表現したい!

 

しかし

自分の作品を生み出すことは、至難の技でした。

実物の葡萄を見て、ただ再現することではなく、

自分の心をどう表現するかだったので、

最初は手も足もでません。

 

葡萄の実の色は?
葉っぱの色は?
構図は、?

何から何まで自分ひとりで決めなくてはなりません。

一つ一つに、悩み苦しみ、何枚をためし描きをし、

ようやく仕上がった作品が、この作品です。

 

亡き友人を偲んで描いたこの作品は、

上の葡萄が、天国にいる友人。
下の葡萄が友人のご主人。

とても夫婦仲の良い二人をイメージして、
上と下で呼び合っている構図にしました。

この作品を、白浪先生に見て頂いたところ、
「構図が不自然」と言われ、

すずめを描き足されました。

 

この作品を、亡くなった友人のご主人に見て頂いたところ、

「すずめは私です。いつも家内に見守られているから」

とおっしゃったのです。

思いがけない言葉に、胸いっぱいになりました。

亡き友人に捧げる絵 墨彩画「朝日に輝く葡萄」

水墨画による「朝日に輝く葡萄」

友人に語りかけながら描いた絵です。

全体として薄く表現。
繊細な墨色の描き分けに苦労しました。
祈りの世界は、白く輝くべきだから。

未熟でもいい。

私は、自分の心を表現したい。

でも、この絵は、白浪先生には、ほめられました。

何故、友人は最後まで笑顔でいられたのか 水墨画「朝日に輝く葡萄」

月と葡萄

友人が亡くなって2年目。

ご主人は、

ずっと亡くなった友人のことを想い続けておられました。

 

そんなご主人を葡萄に、友人を月に見立てて、

清らかな夜に

二人が静かに楽しそうに会話をしている姿を想像して、

描きました。

水墨画 「清夜」

墨彩画 「朝日に輝く葡萄」

今回の「朝日に輝く葡萄」は、
さらに、葡萄を照らす光を表現しようと思いました。
天から降り注ぐ光です。

光を象徴するために、

葡萄の色は、同系色でまとめてシンプルにし、
葉っぱの色は、墨を混色して明度を下げ、

光が目立つようにしました。

描き方動画

まとめ

今回は、葡萄にまつわる私のストーリーや

これまで描いてきた葡萄作品の紹介と描き方について

お話しました。

いかがだったでしょうか?

ただ、葡萄を見て描くのではなく、
葡萄を見て感じる、自分の心をどう表現するか。

これからも、チャレンジし続けていきたいテーマです。

今回は、ここまでです。

最期まで、ご覧いただきありがとうございました。

次回、またお会いしましょう。