こんにちは。
墨彩画家でセラピストの桂颯(けいそう)です。
今回は、
「顔彩で描く絵手紙シリーズ」として、
アヤメの描き方をお届けします。
アヤメといえば、花びらがヒラヒラとゴージャスで
とても美しい形をしていますね。
「いずれアヤメかカキツバタ」
という諺を聞いたことがありませんか?
これは、
どちらも美しくて、優劣つけ難い美女を表現するときに
使われた慣用句です。
アヤメもカキツバタも、とても美しい花で
しかも、区別がつかないほど似ていることに
由来するんですね。
そこで、今回は、まず、
このゴージャスなお花の作りと
その重要な役割について解説いたします。
アヤメの複雑なお花のつくりには、
虫を呼び込むための面白戦略が潜んでいるんです。
こうしたアヤメのお花の特徴や戦略を
しっかり理解しているのと
理解していないのでは、
お花を描くときの想いがまるで違ってくるんですよ。
ところで、ちょうど、同じような時期に、
お花の形がとてもよく似ている
花菖蒲、アヤメ、カキツバタが咲きますね。
みなさんは、区別がつきますか?
今回は、一瞬でわかる区別法について
解説いたしますね。
そして最後に、描き方動画をご紹介します。
この動画は、全ての行程を省略せずに
丁寧にわかりやすく作成していますので、
ご覧になれば、描き方をご理解いただけると思います。
盛りだくさんの内容ですので、
最後まで、ゆっくりご覧ください。
目次
アヤメとは?
アヤメは、
アヤメ科アヤメ属の多年草です。
草丈は、30〜50cmで、葉は細長く直立しています。
お花の色には、紫や白があり、5月ごろ開花します。
アヤメの賢すぎる戦略とは?
戦略1 豪華な蜜標でアピール
下に大きく垂れ下がっている3枚の花びらは、
外花被片(がいかひへん)と呼ばれます。
中央には、「蜜標」があるのですが、
アヤメは、ここで豪華な網目状にすることで目立たせ、
「ここにはおいしい蜜がありますよ!」と
強く虫にアピールしているんですね。
戦略2 外花被片は広い滑走路
蜜標に導かれてやってきた虫にとって、
外花被片は、滑走路のようなものです。
蜜標という誘導灯に導かれてやってきた虫は、
広い外花被片に安心してとまることができるんですね。
花びらのように見えますが、
実は、がく片なんです。
戦略3 虫の動きを制限するめしべの戦略
外花被片の上に覆いかぶさるように
突き出ているのは、めしべです。
花びらのように見えますが、
めしべの花柱(かちゅう)と呼ばれる部分で
その先端下側に柱頭(受粉する場所)があります。
そして、この花柱の下には、1本づつ、
おしべが隠されているんですね。
つまり、蜜標に導かれてやってきた虫たちは、
お花の奥にある蜜を吸うために、
めしべと外花被片の間の狭い通路を
通っていかなくてはならず、途中、
背中に、おしべの花粉がつくようになっているというしくみ。
花粉を背中につけた虫は、別のアヤメの蜜を吸うために
もぐりこんだ際、背中の花粉を
今度は、別のめしべの先端にある柱頭につけて
受粉させます。
戦略4 雨から花粉を守る
めしべの花柱には、
もう一つの大事な役割があります。
それは、雨の多い時期に花を咲かせるアヤメが、
花粉を雨で流されないようにするために、
花柱という屋根の下でおしべを守っているんですね。
戦略5 お花を大きく見せてアピール
お花の中央に直立している3枚の花びらを
内花被片(ないかひへん)と呼びます。
外花被片と内花被片をこのように配置させることで、
上からも、横からも、目立たせることができ、
虫に強烈にアピールすることができます。
いかがですか?
アヤメがとる5つの戦略!
驚くばかりです!
アヤメと花菖蒲、杜若のちがいは?
花びら(外花被片)の模様を見れば、
一眼で区別がつきます。
アヤメには、網目模様があります。
花菖蒲には、黄色い筋が入っています。
カキツバタには、白い筋が入っています。
さらに詳しい違いについては、
以前の講座をご覧ください。
描き方動画
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アップしていますので、お気軽にご覧いただけます。
そして、Youtube動画の詳しい解説は、
こちらのブログで行なっています。
つまり、両方をご覧になると、
しっかりご理解いただけると思いますので、
よろしくお願いいたします。
まとめ
今回は、「顔彩で描く絵手紙シリーズ」として
アヤメの描き方をお届けしました。
まず、アヤメのお花の構造と
そのユニークな戦略について解説しました。
見た目がそっくりなアヤメ、花菖蒲、カキツバタの
見分け方についてもご説明しましたね。
その後、わかりやすい描き方動画を
ご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
今回は、ここまでです。
最後までご覧くださりありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。